読書感想「ため息に溺れる」石川智健著 ラストまで一気に読めます
石川智健著の「ため息に溺れる」を読了しましたので読書感想です。
惹かれた理由は、「ラスト10ページと書かれたの帯」が気になったからが、一番でかいですかね。
こういうどんでん返し?を楽しめる小説が好きなので、手に取ってみました。
淡々とした語り口でサクサク読めつつも、引き込まれて一気に読了。2~3時間で楽しめましたよ!
「ため息に溺れる」簡単なあらすじ
名家の養子で美男子、だれからも愛されていた医師・蔵元指月が自室で血を流して息絶えていた。
部屋には、『ため息におぼれてしまいました』と書かれた遺書のようなものが。
警察は一旦は事件性はないと判断したが、家族が再調査してくれと頼んでくる。女刑事・羽木薫が調査を進めると、そこには名家の権力をめぐる闇が隠されていた。
一見だれからも好かれていた医師・蔵元指月の最期の思いとはー
ってな感じの話でした。
ミステリ系に所属するのかな?と思います。
「ため息に溺れる」感想
ここからは、ため息に溺れるの感想です。
全体的な語り口が淡々としていて、わかり易いなぁと思いながら読みました。
この「ため息に溺れる」は舞台が立川にある名家・蔵元家が舞台。
「波風立てるなよ!(警察的には)事件性がないって結論でもいいんだからな?」と言われながらも調査を始める女刑事さんが優秀なので、少しずつ事件の状況が明らかになっていきます。
この小説の面白さは、最後の10ページに青年医師の最期が明らかになるところなのですが、例えるなら湊かなえの「告白」みたいな感じです。
「告白」はかなりエグイですが、このため息・・・は読み進めるにつれて「ザ・華麗なる一族」みたいな家族間のドロドロが少しずつ出てくるんですね。
その闇・・・が「ため息」につながるんでなく青年医師の思考は別のところにあったという話。
物語が進むにつれてチョイチョイ伏線がはいってくるので、最後になにかあるぞ!っていう恐怖のようなものが沸き上がるのですが、最後はたしかにため息ものでした。(告白ほどエグくなくてよかった~)
この青年医者さんがラストに考えていたことは、自分も考えたことはあることだけど、踏ん張ってその領域にはいかないようにしている。類のものです。
同じ考えを持ったことがある人ほど、ラストのため息は深そうです。

警察的には事件性がなくクローズしたい(警察にも影響力がある名家に事件が起こると端的に面倒)という立場と、刑事の習性で不明点があれば解明するべき、という2つの立場を考えながら立ち回るんですが、自然体というか自分にできることを淡々とやるスタンスが良いなぁと思いました。
どんでん返し系?
帯には「ラスト10ページにいていた世界が一変する!!」って書いてありますが、一瞬どんでん返し系なのかと思ったけれども(確かにそんなところはあるけれども)ソレだけを狙って楽しむとか、そんな奇抜な感じではない印象です。
興奮まではいかない、でも静かに自分の心に「なにか」が沁み込んでいく感じの小説でした。
2月に発売した『ため息に溺れる』が重版しました。これで5刷です。しかも、一度の増刷部数も増えました。読んで頂いた皆様、ありがとうございます。
どんでん返しで驚かせるというよりも、誰もが多かれ少なかれ持っている〝ある考え〟を効果的に示すことができればなと思って書きました。 pic.twitter.com/9OeANBgTUW
— 石川智健 (@i_tomotake) 2018年6月18日
石川先生のツィートを拝借しましたが、そういうお考えですか~。
今回は作者のメッセージをうまく受け取れたかな?と思います。